主日の説教(世界宣教の日) 1991,10,20

年間第二十九主日(Mk 10:42-45)

仕える

イエスに倣う偉大な生き方

 

 

今日、イエズス様は、子供たちにこんなふうに呼びかけています。「みんなの中で偉くなりたい人は、みんなに仕える人になりなさい。いちばん上になりたい人は、すべての人の僕になりなさい。」

 

今日のお話しは、「これから」偉くなるみんなにだけ聞こえるように、小さな声でお話しします。イエズス様は、私たちに、「偉くなっていいんですよ」と教えてくださったんですね。はてな?教会学校の先生は、みんなに「偉くなりなさい。どんどん偉くなりなさい」って教えてくれるかな。教えてくれないよね。じゃあ、みんな、初めて聞いたんでしょうね。

 

どれくらい、偉くなってもいいのかな。ちょっとだけかな。いやいや。いちばんになっていい。いちばん偉い人になっていいんだよと言っています。イエズス様が教えてくださる仕方で偉くなるんだったら、どこまでだって偉くなっていいそうです。みんなは偉くなりたいですか。どうかな。

 

イエズス様が考えている偉い人って、いったいどんな人だろう。みんなに会社の社長さんを二人見てもらうから、どっちが偉い人か、当ててください。

 

初めに、こんな社長さんです。「社長、お茶を持ってきました」「うん」「あー、きみきみ」「はい」「机をきれいに拭いてくれたまえ」「わかりました」「なんだ、このお茶は!わたしは熱いお茶が好きだと、何度も言っているだろう」「すみません」「それだからきみは偉くなれんのだ・・・・・・」

 

次はこんな社長さんです。「おいみんな、うちの社長をどう思う?誰よりも早く来て、一人ひとりに『おはよう』って挨拶するんだ。どんな仕事も最初にやってみせて、それから仕事を任せるんだ。そして一番最後に帰るのも社長なんだ。」

 

さて、みんなはどちらの社長さんが偉いと思いますか。

 

わたしは、あとででてきた社長さんが絶対偉いと思います。それはどうして?それは、みんなに命令ばっかりするのではなくて、いつも相手の気持ちになって、こうしたらきっと喜んでしてくれる、そんな気持ちにさせてくれるからです。それは、イエズス様が教えてくださった、「仕える人」の姿です。

 

あとのほうの社長さんは、みんなが喜んで仕事ができるように、気を配っていました。こうして、すべての人に仕えていたわけです。だから、仕える気持ちを持って働いているこの社長さんは、みんなに喜ばれる偉い社長さんなのです。じゃあ、最初にでてきた社長さんは、どんな社長さんだったのかな。実は、あの人は「偉そうな」社長さんだったんですね。「偉い人」と「偉そうな人」、ずいぶん違いますね。

 

今日、イエズス様が教えてくださったことも、今の社長さんのお話と似ていると思います。私たちはみんなに喜ばれるようなことをすれば、みんなに仕える人になることができます。そんな人は、確かに偉い人だと思います。反対に、偉そうな人は、みんなに仕えたくないし、仕えたくないから、みんなに喜ばれません。

 

教会では、イエズス様が私たちの手伝いを待っています。私たちも、みんなに喜ばれる何かをしてみよう。ミサの中で神様が喜ぶように、大きな声で祈り、歌を歌おう。そうしたらきっと、あなたは今日から、偉い人になれます。何かをするけれども、誰からも喜ばれない、そんな「偉そうな人」ではなくて、みんなに喜んでもらえることをして、「偉い人」になりましょう。

 

けれども、初めに言っておいたことを思い出してください。イエズス様は、「ほんのちょっと偉い人」になってほしいのではなくて、「いちばん偉い人」になってほしいと思っています。そのために、こんなふうに言って、お手本を示しています。「人の子は仕えられるためではなく仕えるため、また、多くの人の身代金として自分の命を献げるために来たのである。」

 

いちばん偉くなるためには、イエズス様に見習う必要があります。イエズス様は、一生をかけてする仕事、その中で、みんなに喜ばれる人、みんなに仕える人になってほしいと思っています。そのためには、一体、何をしたらいいんだろう。

 

それは、大きくなったときに、この仕事、あの仕事でまわりの人すべてに喜んでもらえる人になることです。これまでは、教会やお家で喜んでもらえる人になろうとしてきましたね。それで、ちょっと偉い人になれました。これからは、もっと偉い人になってください。イエズス様はみんなに、神様を知らない人や、世界中の人に喜んでもらえるような人になってほしいのです。そうしたらみんなは、本当にいちばん偉い人になっていることでしょう。

 

今日は「世界宣教の日」と言って、世界中がイエズス様を知らせるために何かをしようという日になっています。私たちも、「みんなに仕える人」になって、すべての人から喜ばれる人になりましょう。みんなに仕えるときに、私たちはみんなにイエズス様を知らせることができます。それが実は、いちばん偉い仕事なのです。

 

いちばん偉い人になれるように、いちばん偉い仕事を見つけることができるように、ミサの中でお祈りしましょう。