主日の福音 1998,08,30
年間第二十二主日(Lk 14:1,7-14)
先週の日曜日から一週間が過ぎました。先週の日曜日とわざわざ断ったのは、信じられないことが起こったあの日曜日からようやく一週間が過ぎたという意味です。「優勝しますように」とミサに来てお願いもしない子供たちが、チームをつくって球技大会でまさか優勝するとは夢にも思っておりませんでしたが、あれよあれよと言ううちに勝ち進んで優勝してしまいました。

球技大会中の太田尾・間瀬の子供たちの様子を少し紹介しますと、最初の試合は、リードされていたのを後半で逆転して五対四でものにしました。「やばいなぁ、やばいなぁ」と私は独り言のようにつぶやいていたんですが、次の試合までの待ち時間にも、ぼさーっと遊んでるかと思ったら違うんです。自主的に練習をし始めるんです。

三井グリーンランドに連れていくとつい言ってしまったこともあって、財布の心配をしている主任神父は、「あまり練習はするな、怪我をしたら大変だぞ。無理をするな」と何度も忠告するふりをしたのですが、なんの、私の誘いには一向に耳を傾けませんで、次の試合に向けての練習をしています。「これはいかん」と嫌な予感がしたんですが、その通りに第二試合などは二十五対一で相手を圧倒してまいました。この大差の試合で優勝が確定するわけですが、皆さんこんなに簡単に優勝していいんでしょうか。

太田尾・間瀬チームがすべての試合を消化して、大会の本部席から大会進行係の神父様がやってきて私を呼んでいます。なんだろうと思って本部に行ってみると、「表彰状に名前を書くが、教会の名前は太田尾・間瀬両方の教会の名前を書く必要があるか」ということでした。その賞状を見るともうすでに優勝と書いた賞状でしたが、私は本部の方々に「教会の名前をどんなふうに書くかはそちらにおまかせしますが、この優勝という文字に『準』という字を付け加えて貰えませんか」とお願いしたわけです。

本部の役員の方々は何を言っているのかわからないというあきれたような顔をして、「優勝しているのになぜ準優勝と書く必要があるのか」としつこく私に問いただしました。私はこれこれの深い事情があってどうしても優勝では困るというふうに伝えたら本部にいる神父様方、使徒職の皆さんが大笑いしまして、それはぜひ連れていくべきで、銀行の通帳を解約してでも連れて行くべきだというわけです。私は、「銀行は、ほら、今貸し渋りしてるでしょう。きっと貸してくれませんよね」と言ったら、「お前が出し渋りをしない限り銀行はいくらでも貸してやるはずだ」というふうにやり返されました。

あー、これはもう三井グリーンランドに行く以外にないと腹をくくったわけです。優勝はもちろん嬉しいわけで、本部席から子供たちの所に帰ると、私の顔にはもう笑みがこぼれていたのでしょう。子供たちはそれをすぐに感じ取って、「優勝したとやろ。何曜日に行くと?何時に集合すると?」としきりに私に聞いてきます。「まだ決まったわけじゃない」「表彰式まで分からない」と何度もごまかしたのですが、もう聞く耳を持ちません。表彰式の間中、「何曜日に行くのかなー。何時集合かなー。」みんなは行儀良くしている中でです。今年ほど大会を甘く見ていた年はありません。来年はもっともっと条件を厳しくして、簡単には三井グリーンランドに行けないように作戦を練ろうと思っております。

さて福音ですが、今日の勧めは単なる会食の場での「好ましいマナー」というだけではないと思います。もちろんそのように読むこともできるのでしょうが、私は招待した人が「喜んで、気持ちよく」私たちを招き入れる方法についてよく教えてくれていると思うんです。

何でもそうですが、相手が喜んで協力してくれる、これほど効果的な振る舞い方はないと思います。たとえば何か募金のお願いをするとか、あるいは教会の境内掃除、あるいはほかの教会活動に協力してもらうという時に、相手が気持ちよく喜んで答えてくれる。理想としてはこれに越したことはないわけです。

どのようにすれば相手は気持ちよく応えてくれるか。イエスさまは本当に人間の心理をよくついた勧めを私たちに教えてくれています。実は同じことが神と私たちの間でも行われているんだと思います。

今私の頭の中では来年のカレンダーのことが少しちらついています。年末になると、皆さんはカレンダーをもらったりあるいは配ったりするんでしょうが、もしかしたら将来の積み立ているのために、身近な場面を写真にとって、うまくカレンダーにまとめることができたら、積み立ての一助にならないだろうか、そういうことをちょっと考えているわけです。使徒職の活動、子供たちの様子などを写真を撮ってうまくカレンダーの中におさめ、みんなで利用したら、きっと皆さん珍しがって、手にとってくださるのではないでしょうか。

これは、ひとつの訓練だと思って下さい。きっと先々のことを考えると教会の維持管理のために何かが必要になってきます。そういったときに、雲をつかむようなことを考えるのではなく、自分たちで効果的に、なおかつ気持ちよく積み立てができる。そんな方法を考えていく必要があると思うんです。そのために、こういう形もありますよというのを紹介しているわけです。

カレンダーをめくるたびに、一年のうちにこんなこともあったんだなぁ、そうやって出来事を味わいながらカレンダーを毎月めくることができるなら、家庭に一冊あるいは自分の知り合いにもという形で、気持ちよく協力できるのではないでしょうか。

これは、ほんとうにささやかな、ひとつの例なんです。けれども、今日の福音を具体的に学ぶ、わかりやすい方法ではないでしょうか。イエス様は、相手が気持ちよく、喜んで協力してくれる、そのための効果的の方法ぜひ学びなさいと呼びかけているわけですから、実際に体を使ったり、時間をかけたりして学ぶと、それがよく分かるはずです。

神が私たちの願いを気持ちよく快く受け入れてくださる(もちろん始めから私たちの願いを聞きたいと思っていますが)ために、せっかくイエスさまが気持ちよく、快く応じてくれる方法もあるんだよと教えてくれているわけですから、それを生かしていきましょう。「どうぞもっとすばらしい神の国へおいでなさい。もっと深い喜びの中においで」と神様から呼びかけてもらえるような信仰生活を目指していくことにいたしましょう