主日の福音12/12/16(No.623)
待降節第3主日(ルカ3:10-18)
ヨハネは民衆を救い主に確実に導く

待降節第3主日も、洗礼者ヨハネを通して救い主を待つ準備を進めたいと思います。悔い改めを宣べる洗礼者ヨハネに、群衆、徴税人、兵士たちがそれぞれ「わたしたちはどうすればよいのですか」と問いかけました。

彼らが洗礼者ヨハネに期待したのは、もしかしたら実行不可能なお題目を授けてもらうことだったかもしれません。世間知らずの洗礼者ヨハネが実行不可能なお題目を授けてくれた。ありがたいけれども実行は不可能だ。そのほうが、人々にとって都合が良かったかもしれません。

ところが洗礼者ヨハネが示した勧めは、それぞれの人が暮らしているその場で実行可能な戒めでした。人々にとっては、高尚ではあるけれども、実行不可能なお題目のほうが良かったのです。実行不可能であれば、洗礼者ヨハネの勧めを無視することができたからです。けれども、彼らが受けた勧めは、足もとで、生活を変えることなくそのまま実行可能だったのです。

「下着を二枚持っている者は、一枚も持たない者に分けてやれ。食べ物を持っている者も同じようにせよ」「規定以上のものは取り立てるな」「だれからも金をゆすり取ったり、だまし取ったりするな。自分の給料で満足せよ」

人々は、拍子抜けしたかもしれません。そして同時に、自分たちにとって実行可能な勧めから逃げられなくなったことにも気付いたはずです。

当時人々を教え導く役割にいたのは宗教指導者たち、律法学者やファリサイ派の人たちでした。ヨハネは、彼ら宗教指導者のように人々に荷を負わせるけれども、自分は指一本触れようとしない人ではありませんでした。人々は、正面から、自分に必要な悔い改めと向き合わなければならなくなりました。

このヨハネの姿勢は、イエスにつながっていきます。イエスもまた、人々に勧めを与える際に、決して実行不可能なことを言いませんでした。たとえそれが、「持っている物をすべて売り払い、貧しい人々に分けてやりなさい。(中略)それから、わたしに従いなさい。」(ルカ18・22)という掟であっても、実行可能だったから金持ちの議員に勧めたのでした。

当時の宗教指導者と違って、具体的、現実的な勧めを与える洗礼者ヨハネをメシアではないかと、民衆は心の中で考えるようになります。ところがヨハネは、その考えをことごとく退けます。

「わたしはあなたたちに水で洗礼を授けるが、わたしよりも優れた方が来られる。わたしは、その方の履物のひもを解く値打ちもない。その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる。そして、手に箕を持って、脱穀場を隅々まできれいにし、麦を集めて倉に入れ、殻を消えることのない火で焼き払われる。」(3・16-17)

あとから来られる方が、「メシア・救い主」です。たとえヨハネが、当時最も優れた預言者であったとしても、民衆が本当に救いを求めるお方は、自分のあとに来られる方です。ヨハネはそのことをはっきり理解していました。

ただし、ヨハネはイエスの御生涯の最期まで見届けていませんので、「わたしよりも優れた方」が、どのように優れているのかを示すことはできなかったかもしれません。

わたしたちは違います。わたしたちはイエスの御誕生、ご死去、御復活について、聖書から十分に学ぶことができます。その点を踏まえて、洗礼者ヨハネの証しとイエスの証しを比べてみましょう。

ヨハネの姿勢が、あとから来られるイエスにも引き継がれていることはすでに話しました。ヨハネもイエスも、自分の置かれた場所で、実行可能な勧めを与える方でした。違いは、ヨハネは神に立ち帰る道を示しましたが、イエスは神に立ち帰る道を、「わたしに従いなさい」という招きで示したということです。

ちなみに、福音書の中で「わたしに従う」という箇所を探すと、18箇所当てはまる箇所が見つかります。これだけでも、ヨハネとは違って、あとから来られる方、救い主イエス・キリストは「わたしに従いなさい」という呼びかけで神に立ち帰る道を示すことが分かります。そしてわたしたちは、このお方を今心待ちにして、待降節を過ごしているのです。

ヨハネは、神に立ち帰る道を具体的に示してくれました。このヨハネの招きに従う人々を、もうすぐおいでになる方、イエス・キリストは、もっと強く引き寄せます。「わたしに従いなさい」と呼びかけて、歩く道を照らしてくださるのです。

幼子を迎える準備を急ぎましょう。わたしたちに、神に立ち帰る道を「わたしに従いなさい」という声で呼びかけてくださる救い主を、心待ちにしましょう。今全世界の教会は、教皇さまの呼びかけで信仰年を過ごしています。今年のクリスマスが、信仰を見つめ直し、確信を持ってイエスに従うきっかけとなるよう、恵みを願いましょう。
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‥次の説教は‥‥
待降節第4主日
(ルカ1:39-45)
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