主日の福音12/08/19(No.606)
年間第20主日(ヨハネ6:51-58)
イエスはご自身を与え、人を永遠に生かす

今週の福音朗読を味わいながら、堅信組に結婚の秘跡について話したいと思います。結婚の秘跡は七つの秘跡の中でこの秘跡だけが持っている特徴があります。それは、洗礼を受けたカトリック信者同士が、互いに誓い合うことで、結婚の秘跡を授けるというものです。

他の六つの秘跡は、授ける人と受ける人が別々の人です。洗礼を授ける人と、洗礼を受ける人は別です。その他も同じです。ですが、結婚の秘跡では、司祭は必ずその場に立ち会い、式を進めていきますが、秘跡を授けるのは結婚する一組の男女です。互いが、互いに秘跡を授ける、ただ一つの秘跡なのです。

この、互いに秘跡を授け合う姿から結婚生活の特徴も見えてきます。それは、互いが、互いを与え合うということです。結婚して夫婦となり、夫と妻が、互いに持っている知恵や力を与え合い、日々を過ごしていきます。

今日の福音朗読で、つぶやくユダヤ人たちがイエスにこう言いました。「どうしてこの人は自分の肉を我々に食べさせることができるのか」(6・52)。互いが互いに与え合うということは、イエスがわたしたちにご自分を食べ物として与えてくださる姿に似ています。夫婦が、互いを与え合うならば、それは自分を相手に食べ物として与えることになります。

自分を相手に与えるということは、相手を生かすことになります。結婚している相手が、疲れていたり思い悩んでいたりする時、もう一方の相手が自分を与えるなら、それは相手を元気づけ、相談することもできるようになり、相手を生かすことになります。

また、ふだん口から入る食べ物は、一度食べて、一度栄養になって終わりですが、結婚した夫婦が互いを与え合うのは、一度だけ相手を生かすのではなく、繰り返し生かすことができます。結婚した夫婦は生涯にわたって相手に自分を与えるのですから、互いをずっと生かし続けることができます。

これは、イエスがわたしたちの食べ物となり、永遠に生きるものとしてくださるのに似ています。イエスが与えてくださるご自分の肉と血は、わたしたちを永遠の命に導くからです。夫婦が与え合う姿は、永遠とまではいかないけれども、25年の銀婚式を祝ったり、50年の金婚式を祝ったりするのですから、地上の生活の中で最も長く互いを与え合う姿だと思います。

さらに、イエスはこうも言いました。「わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、いつもわたしの内におり、わたしもまたいつもその人の内にいる。」(6・56)イエスのこの言葉も、互いが互いを与え合う夫婦の姿に通じると思います。「いつもわたしの内におり、わたしもまたいつもその人の内にいる。」夫婦でなければ、相手の内にいることはできないでしょう。それは、互いを与え合い、生かす者同士だからできるわざなのです。

そこで、今週堅信組の中学生に考えてもらいたいことは次のことです。結婚の秘跡は、自分を相手に与えるすばらしさ、自分を与えて、相手を生かすすばらしさを体験する秘跡です。ですから、できるだけ多くの人が、結婚の秘跡に心を開いて、結婚することを人生の一つの目標にしてほしいと思います。それは同時に、イエスがご自分を与えて人々を永遠に生きるものにしてくださる姿に似る生き方だからです。

ところで、結婚の秘跡の恵みを願うとき、一組の男女が互いに秘跡を授け合うと言いましたが、そこには必ず司祭が立ち会わなければなりません。儀式としては証人も立ち会う必要がありますが、とにかく司祭がそこにいなければ、2人で勝手に教会にやって来て誓いの言葉を交わしても、結婚の秘跡は成り立たないのです。

そうなると、多くの人に結婚の秘跡を願い求めて欲しいですが、その人たちの祝福に立ち会う人も、1人か2人は必要になります。ですから、結婚の秘跡の恵みに多くの人があずかれるように、男子のだれかは司祭になってほしいと思います。どんなに時代が進んでも、男女のカップルだけで結婚の秘跡を有効に授けることはできませんので、だれか、司祭になって祝福してほしいと思います。

イエスはご自分を完全に、粉々に砕いて食べ物となってくださり、わたしたちを永遠に生きるものとしてくださいます。その恵みは聖体の秘跡となって今わたしたちに与えられました。人に自分を与えて、相手を生かす生き方をする人は、イエスがご自分を与え尽くす姿に倣う人です。それは結婚の秘跡の中ではっきりと現れます。

これから先、いつか結婚する堅信組の中学生も、結婚の秘跡の恵みがとても深い生き方に導くことを今日学んで帰りましょう。そして、すでに結婚の秘跡の恵みに生きてきた両親、先輩方をあらためて思い出して、素晴らしい恵みの中にいるのだなぁと理解してほしいと思います。堅信の秘跡を受けるなら、結婚の秘跡の恵みのすばらしさもよく理解できるようになります。信頼して、11月の堅信の秘跡を待つことにしましょう。
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‥次の説教は‥‥
年間第21主日
(ヨハネ6:60-69)
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