主日の福音11/01/30(No.516)

先週の木曜日と金曜日、マリア文庫の責任者という立場で、視覚障害者の施設に携わる責任者の情報サービスに関する全国研修会に参加してきました。

簡単に説明しますと、視覚障害者のためにボランティアで活動しているマリア文庫が、全国の視覚障害者団体の中でどのような位置づけにあるのか。全国の視覚障害者団体としてはどのような方向に進むことを目指していて、マリア文庫はその目標に向かってできていることは何か、これから必要なことは何か。

また、今後増えてくる視力に不自由を感じる方々、糖尿病で視力を失った人もこの中には含まれますが、こういった方々に、より多くのサービスを提供する可能性の高い取り組み(「サピエ」と言います)についての説明、そういったことでした。

研修は以上の内容ですが、せっかく大阪まで行ったので、お笑いを見てこようと思いまして、難波グランド花月に行ってお笑いのステージを見てきました。

面白かったですね〜。若手芸人もいましたが、ベテランの芸人、たとえば「今いくよくるよ」さんとか、「オール阪神巨人」さんとか、大御所の舞台も見ることができました。これも、ミサがなくてさびしいのを辛抱してくださった皆さんのおかげだと思っています。ありがとうございました。

さて、今週の福音朗読箇所は、山上の説教と呼ばれる個所で、26聖人殉教者をたたえる記念ミサでも朗読される大切な箇所です。5章3節から10節までで、幸いな姿を8つ取り上げることから、「真福八端(しんぷくはったん)」とも呼ばれています。この8つの幸いと呼ばれる姿を、まずイエス・キリストの中に見出すことにしましょう。

「心の貧しい人」これは、神に心を豊かにしてもらうことを願う人の姿です。イエスは、「『わたしにはあなたがたの知らない食べ物がある』」(ヨハネ4・32)と言われました。ここから、御父が御子イエスを満たしてくださることが伺えます。「悲しむ人々」これはラザロが亡くなって、イエスがラザロのために涙を流したこと(ヨハネ11・35)を思い出すことができます。

「柔和な人」イエスは、「わたしは柔和で謙遜な者だから、わたしの軛を負い、わたしに学びなさい。」(マタイ11・29)と仰いました。「義に飢え渇く人」イエスは「何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。」(マタイ6・33)と仰いました。

「憐れみ深い人」たくさん例がありますが、今回は「大勢の群衆を見て、飼い主のいない羊のような有様を深く憐れみ、いろいろと教え始められた」(マルコ6・34)を挙げておきましょう。「心の清い人」については、姦通の現場で捕まった人を、イエスが「「わたしもあなたを罪に定めない」(ヨハネ8・11)と言ってゆるしてくださる場面が思い出されます。

「平和を実現する人」イエスは平和をもたらす人でした。「わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える」(ヨハネ14・27)と仰っています。「義のために迫害される人」裁判の席に連れて行かれ、兵士の平手打ちを浴びた時、イエスはその兵士に「何か悪いことをわたしが言ったのなら、その悪いところを証明しなさい。正しいことを言ったのなら、なぜわたしを打つのか。」(ヨハネ18・23)と答えました。

こうしてみると、イエスには「真福八端」の教えのすべてが、この地上での生活の中で実現されていました。ですから突き詰めて考えると、イエスが幸いであると教えてくださった生き方は、まずイエスご自身の中にある、ということです。

けれども、真福八端の生き方をイエスの中に見つけ出しただけでは、わたしたちには何ももたらしてくれません。そこで、わたしたちとの結びつきを考えてみましょう。わたしは、それをひとことで言うならば、イエスの生き方を見習うこと。それが、真福八端の生き方だとまとめたいと思います。

イエスの生きざまを聖書の中に探せば探すほど、わたしたちはそれが真福八端の生き方を探すことになることが分かるでしょう。この生き方は他の人には特別な生き方に見えるかもしれません。けれども、イエスの生き方の中には全く普通のこととして現れています。

イエスの生き方を見習うことと、真福八端の生き方を実践することとは、表裏一体の関係にあると思います。つまり、わたしたちが自分の心を神に満たしてもらいたいと願い求めるなら、それはイエスの生き方を見習うことになる、ということです。真福八端の1つだけでなく、いくつかについて真剣に求めていくなら、わたしたちの生き方はイエスの生き方にさらに近づいて行くのです。

もっと大胆に言いましょう。わたしたちが真福八端の生き方をどれか1つでも実践しているなら、特にその生き方を徹底して貫くなら、この生き方を先頭に立って生きられたイエスが、今ここに、この時代に生きていると、言えるのではないでしょうか。

イエスをこの時代に証しすることは何にもまして大切な使徒職活動ですが、真福八端の生き方を貫くことは、今の時代に有効な証しの姿です。
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‥次の説教は‥‥
年間第5主日
(マタイ5:13-16)
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