主日の福音10/01/01(No.453)
神の母聖マリア(ルカ2:16-21)
マリアは神の呼び掛けに答える姿の模範

新年、明けましておめでとうございます。年賀状を中田神父のために用意してくださったかたがたにも、この場を借りて新年のご挨拶とさせていただきたいと思います。さて信仰の面で今年は、神の声に耳を傾け、神の呼び掛けに返事をする年でありたいと思います。

長崎教区長の見三明大司教様は、毎年新年には年頭教書、御復活には復活教書を発表しておられますが、昨年と今年の年頭教書は、聖書に親しむよう、教区民の心に語り掛けるものでした。

特に今年は、昨年の「聖書を読んで神の言葉に親しもう」という年頭教書をさらに踏み込んで、「あなたの御言葉がわたしのものとなるために」という教書を発表しておられます。「神のことば」である聖書が、わたしたちの中で実を結び、呼び掛けに答えることが今年の目標です。

そこで、わたしたちは呼び掛けを聞いて、どのように行動に移っていくのか、順を追って考えたいと思います。まずは、神の呼び掛けに真剣に耳を傾けることです。いちばんお勧めしたいことは、聖書を朗読して、聖書のみことばに耳を傾けることです。

毎週の、聖書と典礼のプリントを持ち帰り、新約聖書の同じ場所をめくって、自分の声で読んでみましょう。自分の声で読むと、自分に向けて語り掛けている神のことばに、より耳を澄ませることができると思います。

今日1月1日、「神の母聖マリア」の祭日用の「聖書と典礼」を実際に使って練習しましょう。第2朗読、「使徒パウロのガラテヤの教会への手紙」を自分で読んでみます。すると、例として、いちばん最後の部分「ですから、あなたがたはもはや奴隷ではなく、子です。子であれば、神によって立てられた相続人でもあるのです」(4・7)が心に響いたとしましょう。この心に響いた言葉を、繰り返し声に出したりしてみるわけです。

神の語り掛けに注意を向け、心に響く言葉にたどり着いたなら、次はその聖書の言葉から思い浮かぶものを並べてみます。あなたの目に留まったということは、何か訴えかけるものがあったはずです。小さなことでも構わないので、並べてみましょう。

先ほどの聖パウロの手紙であれば、「相続人」という言葉が興味を引いたのかも知れません。あなたは、神によって相続人に加えられています。いったいどんな物が相続の対象なのでしょうか。

均等に、相続できるのでしょうか。相続の権利は、消えたりしないのでしょうか。相続人であるのに、声をかけてもらえず、相続から外されることは絶対にないのでしょうか。こうしたことが、どんどん浮かぶことでしょう。

聖書のみことばに耳を澄ませ、ある聖書の箇所に目が留まり、繰り返し言い聞かせてみました。たくさんの気づきが生まれてきました。そこで最後に、わたしたちはどんな態度を取るべきか考えます。

先ほどの「相続人」ということで考えると、わたしたちから相続の権利を放棄するようなことはしてはいけません。特に、相続人と認めてもらったのに、相続人の立場を捨てて、奴隷に成り下がってはいけないのです。そして、相続人にふさわしいと思えるような態度を選ぶ必要があります。

こうした、聖書の中の神のことばが呼び掛けていることに、わたしたちがどんな態度を取るべきか考えて、それを実行する年に、今年を向けたいと思っています。難しいと感じるかも知れませんが、(1)目を留めた聖書の箇所が、(2)どんな呼び掛けをわたしたちに向けていて、(3)その呼び掛けにどう答えるか、この一連の流れは、中田神父が説教の中で6年間言い続けてきたことです。きっと実行できるようになります。

実は、今年取り組みたい目標が、マリアの中ですでに実現されています。マリアの模範を持ち帰り、今年一年の大きな道しるべとしたいと思います。マリアに関する次の箇所が、手掛かりとなります。「マリアはこれらすべての出来事をすべて心に納めて、思い巡らしていた。」(2・10)

「出来事」と日本語に訳されている言葉は、ギリシャ語の「レーマ」という言葉だそうです。「レーマ」をあえて生かして説明を続けると、羊飼いは「主が知らせてくださったそのレーマを見ようではないか」(2・15)と言ってベツレヘムに出かけました。人々は、「羊飼いたちの話を不思議に思った」(2・18)というのですが、この中に「レーマ」は抜け落ちています。ところがマリアは、「マリアは、これらのレーマすべてを心に留めて、思い巡らしていた」(2・19)とされています。

人々は、羊飼いが語ったはずの「レーマ」に目が留まらなかったので、呼び掛けに気付くことができず、呼び掛けに答えることができませんでした。しかしマリアは、羊飼いが語った「レーマすべて」に目を留め、その呼び掛けを読み取り、「思い巡らす」という態度で、呼び掛けに答えたのでした。

マリアの中にみごとに、(1)目を留め、(2)呼び掛けを読み取り、(3)呼び掛けに答えるという、わたしたちが今年目標とする姿が実現されています。しっかり、マリアのお手本を持ち帰りましょう。中田神父も、皆さんが聖書を通して示される神の呼び掛けに皆さんがどう答えていけばよいのかに目が向くように、これまで以上に工夫をして今年1年説教を準備したいと思います。
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‥次の説教は‥‥
主の公現
(マタイ2:1-12)
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