主日の福音08/09/07
年間第23主日(マタイ18:15-20)
天の父はその願いをかなえてくださる

昨日、1人の方に洗礼を授けました。病院で授けました。私はこの時の洗礼式に、神さまの恵みが特別に働いているなぁと感じました。もちろん洗礼式は神さまの特別の恵みですが、恵みを祈り求めるなら、天の父はその願いをかなえてくださるんだなぁということを感じたのです。

今日の福音朗読の後半で、イエスは次のように仰せになりました。「はっきり言っておくが、どんな願い事であれ、あなたがたのうち二人が地上で心を一つにして求めるなら、わたしの天の父はそれをかなえてくださる」(18:19)。

私たちは神さまにいろんなことを願い求めることができますし、実際に願うわけですが、救いに関わる恵みを願うこと以上に大きな願い事はないと思います。たとえ、1千万円くださいと願ってかなえられたとしても、救いの恵みをいただくことに比べたらたいしたことではありません。ですから、洗礼の恵みを病院で、危険な病状にあってかなえていただいたということは、特別大きな恵みだったと思うのです。

私は、その人が洗礼という救いに関わる重大な恵みをいただく橋渡しをしました。洗礼の恵みは、秘跡を授ける人を通してイエスが働き、本人に与えられるものです。イエスは恵みを願う人々の中で働きます。次のように書いてあります。「二人または三人がわたしの名によって集まるところには、わたしもその中にいるのである」(18:20)。

この日、病院で洗礼を受けた人は、返事ができるわけでも、こちらを見て目を合わせることができるわけでもありませんでした。ですから、私たちはこの人の中で何が起こったかを確かめることはできません。けれども、2人、また3人が集まった中におられたイエスが、この人を洗礼を受けた神の子、神の家族に変えてくれました。私は、イエスが仰った言葉によって、目の前にいる人が変えられたのだと信じています。

司祭はしばしば、昨日の病院での洗礼式のように、非常に重大な恵みの場に立ち会う機会が与えられています。こうした場面に立ち会うたびに、司祭が果たす役割の重さを感じます。そのことについても、今日イエスは仰いました。「はっきり言っておく。あなたがたが地上でつなぐことは、天上でもつながれ、あなたがたが地上で解くことは、天上でも解かれる」(18:18)。

病院で洗礼を受けた人は、私と、家族1人と、代親(代父母)1人の3人が祈る中で恵みをいただきました。私は神さまに与えられた権限によって、目の前にいる人を地上でつなぎ、天上でもこの人はつながれました。取るに足りない人間である中田神父の動作で、神さまはこの人を天の国とつないでくださいました。私は、これまでにも増して洗礼の恵みのすばらしさや尊さを、病院の出来事を通して学んだ気がします。

恵みの体験は、人から人へ広がっていく力を持っています。2人の人が地上で心を1つにして求めたことで、1人の人が救いの恵みにあずかりました。私たちも、それを1つの出来事としてただ聞くだけではなくて、私もその体験にあずかろうという気持ちになっていただければなぁと思います。

私たちの暮らしの中にも、救いに関わる重大な恵みを必要としている人がいらっしゃるのではないでしょうか。そのような人のために、私たちはどれほど祈ってみたのでしょうか。

「はっきり言っておくが、どんな願い事であれ、あなたがたのうち二人が地上で心を一つにして求めるなら、わたしの天の父はそれをかなえてくださる」(18:19)。あのイエスのみことばは、単なるもののたとえだったのでしょうか。

そうではないはずです。ぜひ、私たちも家族、身の回りで出会う人のために、心を1つにして祈ってあげましょう。もうすでに、救いに関わる恵みを必要としているだれかが心に思い浮かんでいるかも知れません。私たちがその人を変えるわけではありませんが、私たちが心を1つにして求めるなら、天の父はその願いをかなえてくださいます。

中田神父にも、最近の出会いの中で、救いの恵みが届くようにと願う人々のリストがあります。イエスは100匹の羊のうち、迷い出た1匹のために特別に骨折りました。「心を1つにして」というのがいったいどれくらいの熱意を表しているか分かりませんが、少なくとも、昨日の洗礼式のために祈った時の熱意くらいは必要なのだと思います。

ぜひ私たちも、今日のイエスのみことばを自分たちで体験するようにしましょう。イエスのみことば「はっきり言っておくが、どんな願い事であれ、あなたがたのうち二人が地上で心を一つにして求めるなら、わたしの天の父はそれをかなえてくださる」(18:19)このみことばは確かですと人々に体験として語ることができる信者になれるよう、ミサの中で心を1つにして願い求めましょう。
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‥次の説教は‥‥
十字架称賛
(ヨハネ3:13-17)
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