主日の福音08/04/27(No.355)
復活節第6主日(ヨハネ14:15-21)
あなた方はこの真理の霊を知っています

復活節第6主日は、「世界広報の日」にあたっております。そこで、今日の福音を、「世界広報の日」と結び付けながら考えてみたいと思います。

「世界広報の日」とは、私たちキリスト信者すべての使命である福音宣教のうち、とくに新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、映画、最近ではインターネットなどの広報手段をもちいて行う宣教について考え、反省し、祈り、献金をささげる日です(カトリック教会ハンドブック)。

日本のようにマスコミや技術の進歩している国で、広報が社会や文化に及ぼす影響ははかりしれないものがあります。広報の重要性を再認識し、広報を通して社会と人々にどのように関わっていくことができるか、また、実際どのように関わっているかを考えることが大切です。

そこで、私たちは、広報の大切さを理解し、社会と人々にどのように関わっていくことができるかを具体的に考えることにしましょう。

当たり前のことですが、広報する人は、社会と人々に知らせるべきことを持っていなければなりません。たとえば長崎教区の広報委員会は、毎月お知らせすべきことを委員で確認し、長崎教区の人々に幅広く教区内の出来事や長崎教区の必要事に答えるような内容を「よきおとずれ」を通してお知らせしています。少なくとも、そのつもりでいます。

また、教会の中で自分たちに特に必要なことを知らせてもらうことも広報活動です。この広報のために、広報委員を置いている教会もあります。その広報委員さんは、自分の中にお知らせ内容があるのではなくて、これこれのお知らせをお願いしますと主任司祭や評議委員や経済評議員の方々から依頼されてそれをお知らせします。こうして、お知らせすべきことを与えられて、それを忠実に、また確実にお知らせするよう努力しているわけです。

広報を依頼されている人々は、何を知らせるべきかを与えられて、きちんとその内容を伝えようとします。ではそもそも、教会が社会と人々に向かって広報する内容とは何なのでしょうか。また、教会が社会と人々に向かって広報する内容は、どのようにして与えられるのでしょうか。

その問いに、今日の福音は答えてくれていると思います。ヨハネ福音書14章の16節から17節「父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる。この方は、真理の霊である」という箇所です。

併せて、聖書と典礼5頁に記されている「真理の霊」についての説明をお読みください。「真理」は、「確かなもの、信頼に値するもの」を表すとともに、「隠されているものをあらわにすること」をも表すとあります。ですから、弟子たちに注がれた弁護者である聖霊、真理の霊とも言われるお方は、注がれたあと隠しておくようなものではなくて、社会に対して、人々に対して明らかにすべきものだということです。

この、イエスが御父にお願いして注がれる弁護者、真理の霊が、そもそも社会に、また人々に告げ知らせるべき内容ということになります。弁護者、真理の霊は弟子たちだけに注がれたのでしょうか。そうではありません。聖霊降臨によって、イエスを信じるすべての人に注がれています。ですから、聖霊を受けた私たちすべてが、社会と人々に広報すべき内容を与えられていることになるのです。

ともすると私たちは、「広報は広報委員会とか、広報機関とか、そういったところが引き受けることであって、私たちには縁遠いことだ」と思っているかも知れません。けれども、根本的にキリスト教の広報機関が知らせるべきことはキリスト信者すべての使命でもある「御父と御子から注がれた真理の霊を証しすること」なのです。

そう考えると、広報活動はまずは私たち一人ひとりが社会と人々に対して真理の霊を証しすることから始まり、それをもっと効果的に、組織的に行うために新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、映画、インターネットといった広報手段の活用に向かっていくことになります。私たちは決して無関係ではなく、一人ひとり、大切な広報の担い手であるべきなのです。

「そんなこと言っても、わたしにみんなの前に立ってお知らせしなさいと言われても無茶です」と思うかも知れません。みんなの前に立ってお知らせするのは、それは代表の人がする仕事なので、たしかに全員は無理かも知れません。けれども、だれもが真理の霊を、だれかに告げ知らせる「担い手」なのではないでしょうか。

ここで言う「真理」とは、「隠されているものをあらわにすること」であると確認しました。私たちがみな、真理の霊を注がれているのであれば、それは私の中で隠しておくべきものではなく、明るみに出して知らせるべきもののはずです。どんなときに、どんなふうに知らせたらよいのでしょうか。

いくつか、示しておきたいと思います。私たちが信じているものは、いつどこででも広報する材料になります。私が1週間の中で出会う何人かの人がいるでしょう。その人は、何を大切にしている人でしょうか。この世限りのものを大切にしているでしょうか。その人に、私たちが信じているものをちょっと紹介することができます。

私は、滅びないもの、永遠の命を信じています。そして、復活への希望を持っています。この世限りのものを大切にしていますが、滅びないものに少し目を向けてみませんか。完全に同じ言い方ではなくても、このような言い方で私に注がれた「真理」の広報担当者になることができるのです。

また、なぜミサに行くのか、はっきりした答えを持っているなら、私たちはみな立派な広報担当者です。来週から、特別な祭日が続きます。具体的には、主の昇天、聖霊降臨、三位一体、キリストの聖体、イエスのみ心です。これらの祭日を前にして、なぜミサに行くのか、その答えを全員持っているなら、それは社会に対して大きな広報活動になります。

なぜミサに行くのか。それは、永遠の命を与えてくださるイエス・キリストと親しく交わるためです。私たちに復活の希望を与えてくださるイエス・キリストと確実に出会うためです。こうした答えを全員持っているなら、ミサに集まることがそのまま、広報活動になるのです。そして全員がミサに行く時、全員が広報担当者の務めを果たすことになるのです。

せっかくですから、ミサに行くことができるのに知りながらわざとミサに行かないというようなことはしないようにしましょう。一人ひとりがミサの価値や意味を広報活動できるのに、ミサを通しての広報活動に協力していないとなると、力は半減してしまいます。

もう一つ、一人ひとりの力でできる大きな広報活動を紹介しておきます。「よきおとずれ」や、毎年の「祝日表」、教会掲示板のポスターなどを通して「教皇さまの今月の意向」というのがお知らせされています。この、「教皇さまの意向」に、全世界の信者が心を合わせて生活を営むなら、全世界の信者すべてが、教皇さまと一つになって社会と人々に広報担当者の務めを果たすことになります。世界中のキリスト信者が、教皇さまと心を一つにしていることを知れば、社会は大きな衝撃を受けることでしょう。

私たちは、今週の「世界広報の日」にあたって、自分たちも広報活動に一役買うことができることを考えました。最後に、今日の日のための特別献金によって、現代の伝達手段で効果的に真理の霊を世に示すための協力をしましょう。私たちの理解と協力があれば、きっとイエス・キリストが示した福音の価値を、すべての人が理解するようになると思います。世界のすべてを、イエス・キリストが示した福音が照らしますように。
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‥次の説教は‥‥
主の昇天
(マタイ28:16-20)
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